ボルドー展―美と陶酔の都へ―の感想(2015年:国立西洋美術館)

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ボルドー展―美と陶酔の都へ―
会期:2015年6月23日(火)~9月23日(水・祝)
会場:国立西洋美術館

雨の中、上野の国立西洋美術館で開催中の「ボルドー展―美と陶酔の都へ―」に行ってきました。

私は絵が好きなので、絵以外のものがたくさんありそうな展示には基本的に行かないんですが…あのドラクロワの有名な作品「ライオン狩り」の原画が来ていること、そして私の好きなルドンの絵もありそうだったので、足を運ぶことに。

ボルドーと言えばワイン、港、古都…そんなイメージ。

外にある看板は基本「ライオン狩り」の絵を使ってますね。

あいにくの雨ですが、思ったよりすいてました。(美術館は雨の日は混んでるイメージ)

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ボルドー展の概要

フランスの西南にある、港町ボルドー。

この展示は紀元前~20世紀までのボルドーの歴史と美術を紹介するもので、かなり幅広い範囲なので、じっくり観ないと全然把握できません。

ボルドーはワインの生産地として有名で、18世紀に西インド諸島との貿易で繁栄を極めました。

紀元前1世紀にはもうワインの産地になっていて、ローマの主要な交易港だったと言うのだから、気が遠くなるような話ですね…。

町並みは18~19世紀に貿易で得た莫大な資金による都市計画によって生まれ、三日月型にカーブしているガロンヌ河沿いに街があることから「月の港」と呼ばれています。

そして今では、街そのものが世界遺産とされているなど、多くの観光客が訪れる有名な観光地です。

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ボルドー展の感想

まず、驚いたのが初っ端に出てきた石彫のキャプションに「25,000年前頃」と書かれていたことです。

えっそんなに古いものまで!?

でも女性の体の形が岩にくっきりと刻まれていたり、色を塗った形跡があったりして、ちゃんとした作品になっています。「人間ってすごいな」って思いました。

2,000年前の墳墓・胸像などもとても精巧で、高等な技術と文化を持っていたようです。

こんなのどうやって作るのか、私には想像もつきません。一個の作品を作るのに、途方も無い時間をかけているんでしょうね。

絵は、ロマン派のものが中心でした。

ロマン派の絵って全体的に暗いイメージですが、そのぶん空気感と言うか、空間が奥行きをもって感じられるところが好きです。

ゴヤ、ブーダン、ルドンなど…ボルドーに関わりのある画家の絵も並べられ、いろいろな目線のボルドーを観ることができました。

今回のメインの作品、ウジェーヌ・ドラクロワの「ライオン狩り」は思ったよりも大きく、迫力がありました。

薄く塗り重ねて精密に描くというよりは、大き目の筆跡を強調して、ダイナミックな動きを表現しようとしたんだと思います。

火事によって上半分くらいが消失していて、それが残念なんですが…ルドンが模写したものが横に並べてあり、見比べると消失した部分がどのようなものだったのか想像することができて面白いです。

とにかく、火事などに見舞われながらも、現代に伝えられてるのがすごい。

いかがでしたか?

途方もなく遠い時間を経てきたものたちを観て、過ぎ去った時代の人々の息遣いや生活に思いを馳せ、歴史のロマンを感じました。

たまにはこういうのもなかなか楽しいのでは、と思います。

おまけ:国立西洋美術館の庭にあるオーギュスト・ロダンの「考える人」。これは世界中にあるオリジナル21体のうちのひとつ。

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