最後の印象派展の感想(2015年:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)

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もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20′s Paris
会期:2015年9月5日(土)~11月8日(日)
会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

私は画家のエミール・クラウスが大好きで、このポスターを見かけた時から、この展示を観に行くのを楽しみにしていました。

そして初日、あいにくの曇天の中、勇んで新宿まで行き、さっそく鑑賞してきましたので、その感想を書きたいと思います。

こちらの美術館はいつ行ってもすいているイメージだったので、混雑具合は殆ど心配していませんでした。

まあ内容的にもそんなポピュラーなものではないので、おそらくどの時期に行っても、混雑と呼べるほど人はいないと思います。むしろ駅前の混雑から遠ざかった涼しいオフィスビルで、快適に絵画鑑賞できる喜びを味わえるはずです。

「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」は「損保ジャパン日本興亜ビル」の42階にあります。この赤い看板が目印です。空に向かって反っていて、安定感ありそうな建物。

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ビルの下にある看板。

この絵はエミール・クラウス「リス川の夕陽」と言う作品です。

クラウスはベルギーのリス川沿いにアトリエを持っていて、そこで描いた作品だそう。写真だと分かりづらいんですが、太陽を中心に線が集まっていて、漫画の集中線みたいな効果になっています。

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ビルの入口。午後2時くらいだったと思いますが、何故か無人…

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最後の印象派展の概要

この展示「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20′s Paris」は、
1900~1922年の間にパリの画廊「ジョルジュ・プティ」で展覧会を開催していたグループ「画家彫刻家新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)」所属の、約20名の作家・約80点の作品を集めたもの、だそうです。

近代絵画の父セザンヌから、印象派、ポスト印象派、象徴派、ナビ派、ポン=タヴァン派、野獣派…など、さまざまな潮流が生み出されてきましたが、年代的に1900年ごろはフォービズム(野獣派)やキュビズムが流行りだしていた時代で、今回の展示の画家たちは、その流れには乗らなかったグループの模様。

当時はそれなりに人気があり、画壇では重要視されていたそうですが、革新的なモダニズムが広がるにつれて、悲しいかな忘れ去られてしまいました。※昨今は再評価される流れにあるようです。

今の日本でもあまり知られていないようで、「画家彫刻家新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)を初めて本格的に紹介する巡回展」と紹介パネルに書いてありました。

最後の印象派展の感想

ざっと観て思ったのは、単純に「印象派」と括ってしまうのは、なんか違うなってことでした。

何となく印象派=点描=モネみたいなイメージもあり…、作家によっていろいろ違っているのは分かっているのですが、印象派って光の表現を追及した人たちのはず。

でもアカデミック・クラシックぽく見える作品や、コレ象徴主義ですよね?って感じの神秘的な絵柄のものも、かなーり混じっていたと思います。

なので「ソシエテ・ヌーヴェル」に所属していた作家たちの作品群紹介、って感じなのかも知れません。

でもとにかく大興奮だったのが、好きなエミール・クラウスの絵が数点あったと言うことです。

ずっと前に行ったベルギー印象派の展示のときに観た絵も凄かったですが、やはりポスターの「リス川の夕陽」のインパクトが強すぎる。

あとアンリ・マルタンの絵も好みで、色の組み合わせがとても綺麗で驚きました。20人程度いる画家の中で、おそらくこの人の絵が一番鮮やかです。

そして以前、この美術館で以前開催していた「アンリ・ル・シダネル展」の時に、散々観たアンリ・ル・シダネルの作品。

色味を抑えた、ボヤっとした神秘的な表現がとても上手で、幻想的な雰囲気に飲み込まれそうになります。

今回の展示は、画家一人につき数点の作品+作家の説明パネルが並び、それぞれの作家の特徴も掴めて、なかなかに面白かったです。

同じグループ内と言うこともあり、テーマが似ていたり、作風が似ていたりするところもあり、当時の画家たちの和気藹々とした空気感がなんとなく見える気がしました。

いかがでしたか?

久しぶりに好きなジャンルの絵画を鑑賞することができ、とてもテンションの上がった休日でした。

そして「好きな印象派だし、割と知っているから下調べしなくても大丈夫だろう」と高をくくっていたのですが、ぜんっぜん知らない画家の作品もあり、勉強不足を思い知らされた今日この頃です。ほんと、絵画の世界は見れば見るほど未知のもので溢れていて、いちいち感動させられてしまいます。

今回の発見は「アンリ・マルタンの絵、好き!」ってことでした。

こちらは図録、ポストカードなど。

この表紙の絵ずるい!アンリ・マルタン「野原を行く少女」と言う絵です。原画が大きくて、近くで観ても遠くから観ても、すごく綺麗でした。

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おまけ

チラシの裏。この中だと、アンリ・ル・シダネル「日曜日」と言う作品が好きです。この絵も大きかった。(右上の青緑色の作品)

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こちらの記事もどうぞ
http://tzcat.com/emile_claus/

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