リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展
期間:2015/12/22(火)-2016/3/6(日)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
ポスターの絵が綺麗で気になっていたのと、Bunkamura ザ・ミュージアムの株主優待券を持っていましたので観てきました。
ラファエロは実はあんまり好きじゃないんですが…(絵の中の顔が何か怖いから)、このチラシの絵は好みです。
私は何となくクリムトを連想したりして…。
象徴派とリアリズムの合体みたいな夢の風景が面白いです。
東急百貨店にある幕。絵はジョン・エヴァレット・ミレイの「ブラック・ブランズウィッカーズの兵士」ですね。
Bunkamura入り口。
昼過ぎで渋谷駅前の人ごみはすごかったですが、ここまで歩いて来るとそうでもないですね。
中の喫茶店の混み具合もそうでもない。
入り口にあったチラシです。絵はダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの「シビラ・パルミフェラ」。
下はチラシの大きい版ですね。
絵はジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの「デカメロン」。
デカメロンとはギリシャ語で「10日」と言う意味で、10人集まって合計100話のお話をして、100物語(怪談ではないだろうけど)みたいのをするゲームらしいです。
その日の主催者が冠(月桂樹)を被ってお話をするそう。
絵の中だと黄色いドレスの女性が冠を被ってるので、この日はこの人の番なのでしょう。
混雑具合は、まあまあかなーと言ったところでした。
始まったばかりの土日に行きましたが、思ったより混んでました。(おそらく株主優待入場券の有効期間が今年いっぱいのため、期限切れの前に消費しようとする人が多い)
たぶんこれからも大混雑ってことはないでしょう、会期長いし。
多少人はいるものの、土日でも割とゆっくり観られるレベルだと思います。
英国の夢 ラファエル前派展の概要
今回の展示は、イギリスにあるリバプール国立美術館の中の「ウォーカー・アートギャラリー」「レディ・リーヴァー・アートギャラリー」「サドリー・ハウス」の3つのコレクションの中から、約65点の絵画を紹介するものです。
展示の構成
- Ⅰ.ヴィクトリア朝のロマン主義者たち
- Ⅱ.古代世界を描いた画家たち
- Ⅲ.戸外の情景
- Ⅳ.19世紀後半の象徴主義者たち
「ラファエル前派」とは
「ラファエル前派」とは「ラファエロ以前」と言う意味で、ルネサンスを代表するイタリアの画家ラファエロ以前の、中世や初期ルネサンスの芸術を規範とした派閥です。
「自然に忠実に」という反産業主義、復古主義的な創作活動を目指し、鮮やかな色彩、明暗のくっきりした画面、細かい描写に特徴があります。
モチーフは宗教的なものや神話を基にしたものが多いですが、古典的な構図などはよしとせず、斬新な解釈で新しい描写を模索したようです。
「ラファエル前派」のメンバー
結成したのは上3名、下4名が後から加わり、合計7人になりました。
- ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
- ウィリアム・ホルマン・ハント
- ジョン・エヴァレット・ミレイ
- ウィリアム・マイケル・ロセッティ
- ジェームズ・コリンソン
- フレデリック・ジョージ・スティーヴンス
- トーマス・ウールナー
英国の夢 ラファエル前派展の感想
今回とにかく思ったのは「すっごい綺麗!」ってことでした。
全体的にまるで写真かCGのような正確さがあるんですが、やはり実物を観ると筆跡や試行錯誤した跡が見えて、やっぱり人の手で創られてるんだなぁって実感があります。
しかし夢の中みたいなふんわりしたムードもあって、写真とかじゃ絶対こんな雰囲気出せないだろうなって気もする。解説にもありましたが、まさに”ロマンティック”!って感じ。
写実的なのに、実際にはありえない物語の中みたいな…。
しかしどの絵も手がこんでいるものばかりで、一体何時間くらいかけて描いてるのだろうか…想像もつきません。宗教画や神話モチーフの絵画に向ける、この頃の人々の職人魂と言うか、集中力にはほんと驚かされます。
図録を買ったので、気に入った絵を紹介。
ジョン・エヴァレット・ミレイ「ブラック・ブランズウィッカーズの兵士」
「ブラック・ブランズウィッカーズ」とはナポレオン戦争の末期に活躍した部隊の名前です。
この絵はその兵士と恋人の別れの場面だそうで、ミレイは「恋人と離れ離れになってしまう」テーマに思い入れがあったらしく(自分が恋人と離れていたので)、このモチーフを複数回取り入れています。
このサテンのドレスのスカート部分がすっごい綺麗でした。まるで写真みたいな…しかもこればかりは原画に寄って見ても全然筆跡が見えなくて、さすがだなぁと関心せずにはいられませんでした。
チャールズ・エドワード・ペルジーニ「シャクヤクの花」
こちらも綺麗で気に入った一枚。
淡色の画面の中で、薄緑色のドレスと透き通るようなピンクの花、そして彫像のような美しい女性のハーモニー。まさに象徴、唯美主義。
ドレスは妙にシワが綺麗に描かれててリアルなのに、女性の肌や指はかなーりしなやかにシワひとつなく描かれていて、ほんと神話の中の夢の女性像だなぁって感じです。
いかがでしたか?
今回の展示はとてもよかったです。絵にあんまり興味ない方でも、きれいなものが好きな方には是非オススメしたい。
こちらは図録やポストカード、チラシなど。
この時代の絵はあんまり知識がないので、勉強にもなってよいですね。
しかし技法がサッパリ分からないので、私には真似できそうにありません。あんな綺麗な絵を描けたらいいなぁってすごい思うんですけどね…